令和3年度 文化祭
「離れていても心は一つ 〜制限から可能性へ〜」

今、できることに一生懸命

京都市内が駆け足で秋めいてきた10月18・19日の2日間、中学・高校合同の文化祭を開催しました。昨年と同じくコロナ禍に見舞われた今回も、準備期間の半分近くが京都府による緊急事態宣言と重なるなど、さまざまな制約の中での実施となりました。しかし、スローガンに掲げた「離れていても心は一つ 〜制限から可能性へ〜」が示すとおり、中学・高校ともに生徒たちは「今、自分たちにできること」を懸命に模索し、クラスや学年の仲間と一丸となり、感染対策に万全を期すことで素晴らしい文化祭を実現しました。

文化祭の始まりを実感する

今年度の文化祭のオープニングはいつもと趣向を変え、web会議システムの「Meet(ミート)」を利用して、中学・高校の生徒会長による開会宣言と、校長先生のあいさつを自宅にいる中学生にライブ配信しました。これは密を避けるために、中学生の半数を18日は自宅授業学習にしたためで、洛南の文化祭では初めてのこと。このライブ配信を見たことで“いよいよ楽しみにしていた文化祭が始まるのだな」と自宅学習をしている中学生たちも、文化祭の開幕を実感したようです。

【中学文化祭】キーワードは「創作」「探求」「バーチャル体験」

かつてない試みは、中学の文化祭にも。これまでは3年生だけが学年展示などを行い、下級生はいわば「お客さん」として先輩たちの「汗と涙の結晶」を見学するだけだったのが、37期を迎えた今年度初めて、1・2年生も、学年展示を行い、晴れて文化祭の当事者となったのです。
1年生の展示では「自分が創りたいモノ」が会場にズラリ。今の自分の気持ちを筆に託したダイナミックな書もあれば、思わず「これ、おいくらですか?」と聞きたくなるオブジェがあり、写真のコラージュで構成された少し謎めいた自画像もあれば、お手製の弓がある。また、教室に流れるBGMも生徒の作品。1年生の芸術魂が爆発した創造展はまさに想像以上の出来でした。
かわって2年生の展示は、宿泊行事の大山旅行と京都水族館の二つをテーマにしたもの。前者は大山の歴史や地理、気候などを事前に詳しく調べ、その中で感じた疑問を現地で「答え合わせ」するという内容。後者は、人気者のオオサンショウウオをはじめ、ペンギンやアザラシなどの生態を自筆のスケッチを交えて明らかにするというもの。どちらも「探求する楽しさ」がうかがえる展示ばかりだったのが印象的でした。
3年生の会場には、修学旅行の目的地・鹿児島のバーチャルツアーが登場。桜島の模型や西郷隆盛の似顔絵の展示、鹿児島名物のひとつであるプラネタリウムの再現など、生徒たちはさまざまな切り口から鹿児島の魅力を発信。「カゴリーグ」と題された作品では生徒自らが作成したCGと、自分たちが出演・撮影した実写とを組み合わせたクイズ形式の映像が披露され、教室は多くの挑戦者で賑わいました。

【高校文化祭】各種ゲームやカジノなどのアトラクションが復活

高校の文化祭は、今年度もクラス単位の発表。おそろいのTシャツを着た生徒たちが来場者を呼び込んだり、趣向を凝らした「コスプレイヤー」がPRのために各階を練り歩いたり、その姿を見ているだけでもテンションが上がります。
ところで同じコロナ禍での開催でも、昨年度と今年度とでは様子が一転。昨年度は密や接触を避けるために展示が多かったのが、今年度は各クラスが参加型のアトラクションを披露し、おかげでどの教室も大盛況でした。これも、手指消毒をはじめ換気(通気性)の確保や人数制限の徹底など生徒自身による感染防止への取り組み、さらに展示審査委員会でのチェック、まさに生徒と教師が一体となって感染防止に真剣に取り組んだ成果といえるでしょう。
気になるアトラクションの種類はというと、1年生は縁日、脱出ゲーム、謎解きゲーム、カジノ、オリパラ競技、色彩をテーマにしたゲームなど多種多彩でした。2年生は人気のカジノや脱出ゲームなどに加え、アクセサリーづくり体験、恋愛シミュレーションゲーム、ボウリングなどこちらもバラエティ豊か。もちろんどのアトラクションも、その備品やセットのほとんどが手づくりで、たとえばカジノではルーレットやチップをイチから作成し、脱出ゲームではお化け屋敷やジャングルを思わせる大道具から小道具までのすべてが生徒たちのお手製。また、恋愛シミュレーションのキモとなるプログラミングも、クラスのみんなで力を合わせてつくったもの。どのクラスも緊急事態宣言下での準備となり、時間的な制約はたいへんなものでしたが、スケジューリングや役割分担を明確にすることで難問をクリア。
生徒たちに感想を聞いてみると「クラス全員の絆が深まった」「これまで話をしたことがなかった人と仲良くなった」といった声から、「組織を動かす難しさがよく分かった」「限られた予算内でいかに面白くするかという、企画の醍醐味を知った」という声まで、実にさまざまでした。ともあれ今回のプロジェクトを通して、多くの生徒が達成感や満足感とともに、大きな自信を得たようです。

クラブの展示・発表も見ごたえ十分

クラブ活動による展示・発表が充実しているのも、洛南附属中学・高校ならでは。「競技かるたクイーン」の先生が顧問を務める競技かるた部のデモンストレーション、中学茶道部によるエアーお点前、鉄道研究部渾身の大迫力ジオラマ、鬼滅の刃をモチーフにした華道部のディスプレイ、俳句創作部の俳句甲子園展などなど、各クラブが知恵と工夫を凝らし、汗を流してカタチにした展示・発表は見ごたえ十分でした。

小学生が初めて文化祭を満喫

今年度は小学生の見学も実施し、こちらも初めての取り組みでした。最初は少し緊張だった児童たちも、中学生・高校生から優しく声を掛けられて次第にリラックス。みんなパンフレットを片手に、キョロキョロしながらお目当てのアトラクションや展示を見つけては、初めての文化祭を満喫していました。感想をたずねてみると、「最近家族で出かけることがあまりないので、お祭りみたいな縁日はとても楽しかった」「家にこもって一人でゲームをするよりも、たくさんの人といっしょに遊ぶほうが面白い」といった声が聞かれました。