令和4年度 新春歌かるた大会

54回目の洛南屈指の伝統行事

新学期が始まってまもない1月10日、柔道場で「新春歌かるた大会」を開催しました。半世紀以上の歴史を持つ洛南屈指の伝統行事は今回で54回目。開会式で北川校長が、その3日前にクイーン戦3連覇を果たしたばかりの山添先生をはじめ、洛南から多くの優秀な“選手”が巣立ったという話をすると出場生徒のテンションはいやがうえにも上がります。ちなみに北川校長の“推し”の一枚は、崇徳院の77番「瀬を早み 岩にせかるる 滝川の われても末に あはむとぞ思ふ」。
高校2年生による選手宣誓に続き、競技かるた部員によるデモンストレーションが始まると、みんなの目は部員たちの所作に釘づけ。山添先生の読みと解説に合わせ、色とりどりの袴や背中に金文字で「洛南」「かるた」と書かれたTシャツを着た部員たちが華麗な手さばきを披露してくれました。

ルール解説

今年の大会も、中学は学年別・クラス代表3名による団体戦、高校は1・2年生合同・クラス代表3名による団体戦で、いずれもトーナメント方式で決勝の4回戦まで行います。3名のうち、2名が勝ったクラスが次の試合に進みます。1回の試合に使用する札は双方15枚ずつの計30枚で、読まれた札に直接早く触れた方がその札を取り、相手の札を取った場合は自分の札を一枚渡します。自分の札が先に無くなった方が勝ちとなります。札を飛ばす“払い手”は禁止です。競技かるた部員の出場は各クラス1名で、一般生徒との対戦を避けるため必ず部員同士が相対します。

いざ、“0.1秒の戦い”へ!

試合は1回戦から白熱! 競技かるた部員はもちろん、一般生徒も前傾姿勢になって札のチェックに余念がありません。ウォーミングアップでしょうか、それとも牽制でしょうか、始まる前から手刀を切るように手を動かしている生徒もいます。このように柔道場全体に緊張感が漂う中、歌が読まれるたびに“ピシッ”という音があちこちから聞こえてきます。まさに“0.1秒の戦い”を何度も繰り広げた出場生徒たちの集中力は、本当にハンパではありません。
面白かったのは、在原業平朝臣の17番「ちはやぶる 神代もきかず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは」が読まれたときのこと。読み手が「ち」と声を発するやいなや、ほとんど全員の手が「からくれなゐに・・・」と書かれた札に直行。競技かるたを題材とした人気マンガの影響力は恐るべしです。

みんな楽しみながら真剣勝負

試合に熱中するあまり、“払い手”は禁止のはずなのについ札を飛ばし、それを隣りに座っている生徒に当ててしまうというハプニングが! このほかにも、相手の手に自分の手を重ねてつい苦笑いしたり、勢いあまって畳の上に転がったりと珍プレーが続出し、凛とした空気の中にほっこりした雰囲気が広がります。
試合の始まりと終わりに相手と読み手に一礼し、すべての試合が終わるとみんなの健闘を拍手でたたえる姿はとても清々しいものでした。惜しくも負けてしまい涙ぐむ生徒からは、この大会への意気込みがひしひしと伝わってきました。中には友だちの家に集まり特訓を繰り返したという生徒もいて、洛南生にとって新春歌かるた大会が特別なものであることがうかがえました。

かるたを通して和歌の文化を継承

2時間あまり繰り広げられた勝負の後は、中学・高校とも優勝・準優勝のクラスが参加しての閉会式。図書館長の那須先生が表彰に続き、「和歌の文化は、読む・聞く・札を取り合うといった行為によって支えられてきた。今日、皆さんが繰り広げたのはまさにこの行為であり、これはとても意味と価値のあること。今後も歌かるたに親しみ、和歌の文化に触れてほしい」という講評を行い、54回目の新春歌かるた大会は幕を閉じました。
今回の読み手は1回戦から決勝の4回戦まで、すべて競技かるた部員が担当。これは54回目にして初めての試みです。みんな日ごろの練習の成果を発揮し、見事大役を務めてくれました。また、今回も図書委員と競技かるた部員が準備から最後の掃除までを受け持ってくれました。みんなありがとう!

今回もマスク着用、手指消毒、場内換気を徹底し、さらに密を避けるため開会式と閉会式の参加人数を減らし、控え室・応援席も1階東西選択教室(中学生)と図書館(高校生)に別途設けるなど、新型コロナウイルス感染対策に万全を期した上で無事に大会を終えることができました。

結果は以下の通りです。

【高校の部】
優勝:2年1組  準優勝:1年4組  

【中学の部】
1年 優勝:2組  準優勝:1組
2年 優勝:7組  準優勝:1組
3年 優勝:5組  準優勝:6組