令和7年度 第57回新春歌かるた大会

3名の選手がクラスの名誉を懸け、正々堂々と!

1月8日、柔道場で「第57回新春歌かるた大会」を開催しました。半世紀以上の歴史を誇るこの大会は、かつては東寺内のお堂で行われていた洛南屈指の伝統行事です。開会式であいさつを行った西村文宏中学校長によると、むかしの新春歌かるた大会は個人戦で、各クラスの代表1名が優勝を懸けて熱戦を繰り広げていたそうですが、現在は各クラスの代表3名が力を合わせてクラスの名誉を懸けた試合に臨みます。

西村校長はあいさつの中で、次のようなエピソードを披露。お正月に畑仕事をしていると雪が降り始め、そのときに思い出したのが光孝天皇の15番「きみがため はるののにいでて わかなつむ わがころもでに ゆきはふりつつ」だったそうです。こんなタイムリーな話題を交えながら、三十一文字に込められた詠み手の思いを味わいながら歌かるたを心から楽しむよう、出場選手たちにエールを送りました。

高校2年生による「かるた道の精神にのっとり正々堂々と戦うことを誓います!」という選手宣誓に続き、競技かるた部員がデモンストレーションを実施。4組、計8名の部員たちの装いは、華やかな袴スタイル、オリジナルTシャツにジャージと一般生徒とはひと味もふた味も違います。
同部顧問の山添先生の解説に合わせ、「礼」に始まり「礼」に終わる競技かるたの基本所作を見せた後、模擬戦に突入。大勢のギャラリーが見守る中、山添先生が上の句の一文字目を詠んだ瞬間、どの組も勝負ありの様子。そんなデモが繰り返されるたびに柔道場がざわめきます。また、本大会では札を飛ばす払い手は禁止ですが、デモンストレーションではあくまでも良くない例として払い手が披露され、部員たちが札を遠くまで飛ばすとギャラリーから拍手喝采がわき起こりました。

【ルール解説】

中学は学年別・クラス代表3名による団体戦、高校は1・2年生合同・クラス代表3名による団体戦で、いずれもトーナメント方式で4回戦(決勝)まで行います。3名が同時に対戦し、2勝したクラスが次の試合に進みます。1回の試合に使用する札は双方15枚ずつの計30枚で、詠まれた札に直接早く触れた方がその札を取り(押さえ手)、相手の札を取った場合は自分の札を一枚渡します(送り札)。自分の札が先に無くなった方が勝ちとなります。札を飛ばす“払い手”は禁止です。競技かるた部員の出場は各クラス1名で、部員は必ず1番席に入ります。

2時間以上にわたる「0.1秒の勝負」

デモンストレーションの熱気が冷めぬまま、いよいよ競技開始。冬休みに家族と楽しんだ(?)特訓の成果を語り合っているのでしょうか、それとも緊張をまぎらわせるためでしょうか、みんなワイワイガヤガヤとおしゃべりに余念がありません。出場のきっかけを尋ねると、「小学生のころからかるたが好きだったから(中1)」「競技かるた部の友だちに引っ張られた(中3)」「古典の勉強に役立つと思って(高1)」と、答えはさまざま。
文武両道の洛南らしく、出場選手の中には運動部員もちらほらと。ある高校卓球部員に試合への意気込みを聞くと「いつも速い球を打ち返しているので、動体視力と瞬発力は誰にも負けません!」と、腕をスイングさせながら自信満々の様子です。

青と黄のカラフルな畳に、選手たちがきちんと正座すると1回戦のスタート。柔道場は、先ほどまでの賑わいとは打って変わり、咳をするのもはばかれるほどの静けさに包まれています。その静寂を破るように、読手が序歌の「なにわづに さくやこのはな ふゆごもり いまをはるべと さくやこのはな」を詠みあげると、続く幕開けの歌は新春にふさわしく、山部赤人の4番「たごのうらに うちいでてみれば しろたへの ふじのたかねに ゆきはふりつつ」。
通常、競技かるたでは上の句だけが詠まれ、下の句まで詠まれることはありませんが、本大会では特別に1・2回戦に限り下の句も詠まれます。もっとも、そんな配慮は不要といわんばかりに、読手が「た」と声を発するや否や柔道場のあちらこちらから「ビシッ!」「バシッ!」という音が。その快音からは、一般生徒も「0.1秒の勝負」に並々ならぬ熱意を持って臨んでいることがうかがえました。

「0.1秒の勝負」への熱意は、姿勢にもありありと。みんなレスリング選手のように腰を浮かして前かがみになり、相手の札を虎視眈々と狙う姿が印象的でした。その顔つきはというと、相手に手の内を読まれないよう(?)、基本ポーカーフェイス。ところがお手つきをしたり、つい禁じ手の払い手をしたりすると、みんな思わず苦笑い。そして、勝負を制すると友だちと抱き合ったり、ハイタッチをしたり、惜しくも負けると肩を落としたり、涙ぐんだり・・・。中学生・高校生ともに、そんなドラマを決勝の4回戦まで2時間以上にわたり見せてくれました。
大会終了後、ある高校生に話を聞くと「体全体を使ったので結構疲れましたね。でも、心地いい疲れです。優勝はできなかったけれど楽しかったです」と笑顔で答えてくれました。

1回戦が終わると、みんなお待ちかねのもぐもぐタイム。今回も大正元年創業の老舗和菓子店「東寺餅」さんの京風よもぎ大福の差し入れがあり、惜しくも1回戦敗退の選手も2回戦に臨む選手も、みんなボリュームたっぷりのお餅で頭とお腹にエネルギーをチャージしていました。

勝ち負けを超えた伝統文化を世界へ

閉会式では、図書館長の安達先生が入賞した選手たちを「おめでとう!」と力強い言葉で表彰。そして講評を通して、「歌かるたは勝ち負けを超えた日本が誇る伝統文化であり、その素晴らしさを世界にアピールしたい。キミたちなら、それができる!」とメッセージを送り、57回目の新春歌かるた大会は幕を閉じました。

今回も1回戦から4回戦まで、全試合の読手と審判を競技かるた部員が担当しました。読手を担当した高校1年生の部員は「普段、読手を務めることはないのでいい経験になりました。詠むスピードや間の取り方についてはもちろん、一首、一首をどういう気持ちで詠んだらいいのかを自分なりに考えることで、競技かるたへの関心がより深まったように思います」と満足げに話していました。

また、今回も事前準備から当日の進行、そして後片付けまで、大会の運営全般を高校1・2年生の図書委員が担当してくれました。みんなありがとう!

結果は以下の通りです。

【高校の部】
優勝:1年3組 準優勝:1年2組 3位:1年1組、4組

【中学の部】
1年 優勝:3組 準優勝:1組
2年 優勝:5組 準優勝:7組
3年 優勝:6組 準優勝:2組